規則18
18.1はストロークと距離の救済について言及しています。前回プレーした場所からプレーする規則で、多くの人にとっては主にこの規則を使うのはOBに行った時かと思われます。処置方法は前回プレーした場所により変わってきます(規則14.6参照)。意外と知られていないのが、この規則はいつでも使って良い、ということです。例えばグリーンで、30cmの下り傾斜の強い真っすぐなラインを強気で打ったら引っかけて外してしまい、球は止まらずグリーンの外へ・・・。という場合、1罰打でもう一度同じ場所から打ちなおすことができます。今度は引っかけないように注意してプレーできる、というわけです。
18.2では球がOBや紛失となったらストロークと距離の救済を受けなければならないことを定めています。OBは日本のほとんどのゴルフ場は白杭で定めており、この場合、白杭の最も内側(インバウンズ側)を地表レベルで結んだ線が境界線となります。境界は垂直に上方にも下方にも及びます。イメージとしては白杭で決まる境界線を基準に垂直に見えない壁があり、その壁の内側がコース、外側がOB、といった感じです。球全体がその壁の外側にある時、その球はOBにあることになります。紛失は、球探しを始めてから3分間が過ぎた場合です。3分間が過ぎたら、もはやインプレーの球ではなくなります。OBにある球も紛失球もどちらもプレーすることは認められず、もしプレーしてしまった場合は誤球の罰を受けることになります。
18.3は暫定球について定めています。暫定球は球がペナルティエリアの外で紛失したか、OBに行ったかもしれない、と思える時にプレーすることができます。紛失するとしたらペナルティエリアしかない、という場合は暫定球とはなりません。この概念は、同じコースで同じ日にプレーしていてもプレーヤーによって暫定球が打てる場合と打てない場合がある可能性を意味しています。例えば、池のあるショートホールで池の左はティーグラウンドから見えないけれど芝の短い区域が広がっているホールがあったとします。このホールでティーショットを引っかけて池の左の区域に打ってしまった場合、良く知っているプレーヤーなら暫定球を打つことはできませんが、初めてそのコースに来たプレーヤーが紛失したかもしれないと考えた場合は暫定球をプレーすることができます。
【暫定球の宣言】
・規則18.3に従って別の球を打ちます ○
・”暫定”打ちます ○
・もう一球打ちます ×
暫定球の宣言は、マーカーか他のプレーヤーに、規則18.3に従って暫定球をプレーすることが明確になるように告げなければなりません。この目的は、暫定球ではなく単純にストロークと距離の救済を受けてプレーしている可能性をなくすためでしょう。そうでなければ、両方の可能性を持ったままプレーすることが出来てしまい、プレーヤーに有利な方を選択することも場合によっては可能にしてしまいます。2019年の規則改正で英語原文の”provisional ball”が”provisional”だけに変更したところを見ると”暫定”だけで充分という解釈になったものと思います(実際、”暫定打ちます”で他の意味に捉えることはないと思いますし)。暫定球で大事なのは、それがいつインプレーになるか、またいつ放棄しなければならないか、を明確に把握しておくことです。
【暫定球がインプレーになる】
・最初の球がOB、または紛失となる
・最初の球があると思われる場所よりホールに近い場所で暫定球をプレーする
暫定球がインプレーとなったら、その後最初の球が見つかってもプレーすることはできません(プレーすると誤球)。”最初の球があると思われる場所”は、実際にある場所とは異なる場合もありますが、”思われる場所”(推定した場所)を基準として考えなければいけません。
【暫定球を放棄しなければならない】
・最初の球が捜索時間内にインバウンズで見つかる
・最初の球がペナルティエリアに入ったことが「分かっているか事実上確実」となる
暫定球を放棄しなければならなくなった後にその暫定球をプレーすると誤球の違反となります。2019年の規則改正で、見つからない最初の球がインバウンズにあったが外的影響が動かした、または動かせない障害物の中などで見つからない状態になった、ということが分かっているか事実上確実な場合、暫定球をインプレーとしても良いという項目が付け加えられましたが、この場合もちろんティーショットなら3打目の暫定球で次打は4打目となります。そうするくらいなら、最初の球に対して適用出来る規則を行使した方が良い、とほとんどのケースがなると思われます。