規則8
8.1は「ストロークに影響を及ぼす状態を改善するプレーヤーの行動」と題していて、旧規則の”13-2:球のライや意図するスタンス・スイング区域、プレーの線の改善”に相当します。球のライやスタンス・スイング区域、プレーの線、それから救済を受ける際のドロップエリアが新規則で言うところの”ストロークに影響を及ぼす状態”で、これらを改善することは原則として認めておらず、違反があった場合、一般の罰を受けることになります。
【8.1で禁止している改善行為の例】
・生長物や動かせない障害物などを取り除いたり動かす
・プレーの何らかの手助けになるようにルースインペディメントや動かせる障害物を置く(取り除くのはOK)
・地面の凹凸などを修復する、ディボット痕を埋める(ティーイングエリアは例外)
・砂やバラバラの土、露や霜を取り除く(ティーイングエリアは例外、グリーン上は砂とバラバラの土は取り除ける)
規則改正で大きく変わったのは、上記のような行動があっても、ストローク前に状態を復元すれば罰を免れる可能性がある点です。これが可能なのは、動かせない障害物などを元の位置に戻す、木の枝などを元の状態に戻す、そして故意に置いたルースインペディメントや動かせる障害物を取り除くことです。例えばOB杭(境界物)を抜いてもプレーする前に元に戻せば罰無し、プレーに邪魔な木の枝を他の木に引っかけたとしてもプレー前に元に戻せば罰無し、ルースインペディメントや動かせる障害物は取り除いて何もなかった状態に戻せば罰無しとなります。地面の凹凸を修復したり、露や霜を取る行為は、元の状態に復元することはもはや不可能とみなされる行為で罰は免れません。
OB杭や生長物を動かして改善をしてもプレー前に復元できれば罰は免れる
さらに8.1では、球が止まった後に状態が変えられた場合について定めています。旧規則にもあった考え方で、球が止まった時のライ等でプレーするのがプレーヤーの権利であり、例えばプレーヤーの球が止まった後に、他のプレーヤーがバンカーからプレーし、プレーヤーの球の上や周りに砂が沢山かかってしまったような場合、公正の理念でプレーヤーはその砂を取り除くことができる、といった考え方を引き継いでいます。ただしこれは人(プレーヤー以外)や動物、人工物が原因の場合で、自然の力が原因で状態が変わった場合は復元することはできず、そのままプレーしなければなりません。悪化した状態は復元するのが基本ですが、復元が困難な場合、1クラブレングス以内の同じエリアで元の状況に最も似ていて最も近い場所にプレースします。
8.2では、球をプレーした際、または自然に動きだした際に、球が行くまたは止まる可能性のある場所の状態を変えることについて言及しています。これは旧規則1-2で定められていたことで、例えば、アプローチショットでミスしたら傾斜を落ちて球が止まる可能性ある長いラフの区域を予め踏み固めておく、といったような行為が該当し、このような行為をした場合は一般の罰(マッチプレーではそのホールの負け、ストロークプレーでは2罰打)となります。
8.3は、8.1と8.2がプレーヤー自身のことについて言及しているのに対し、他のプレーヤーの”ストロークに影響を及ぼす状態”や、球が行くであろう止まるであろう場所の状態を変えることについて定めており、8.1と8.2同様に違反があった場合は一般の罰を受けます。