rockpine

Q&A救済が繰り返しとなる場合(続き)

いつもありがとうございます。 ルールを正しく理解しマナーとルールに精通したゴルファー人生を全うしたいと考えるミッドシニアから、12月23日に回答頂いた『カート道と修理地の救済が繰り返しとなる』についての再確認です。
疑問に思っているのは、12月14日に回答されている『どうしても元の場所に戻ってしまう、という状況なら1度に両方の障害を考慮して救済を受けることができる』の”場所”についてです。 規則を読むと”場所”と”状態”は使い分けられているように思います。状態は、救済を求めらる状態、異常なコース状態といった表記であり規則の図16.1a 異常なコース状態でも”場所”ではなく”エリア”で示しています。このことからも、元の状態に戻ってしまうとは、元の場所に戻るのではなく、元の”救済を求める状態”に戻ることではないのでしょうか。 ご回答のように、ドロップの仕方により次の対応は異なります。
日本のゴルフ場のカート道路幅は1.5m程度だと思います。ホールに向かって左側にカート道路があり、その左に隣接する修理に球が止まったときにカート道路上のニアレスポイント近くにドロップすると、次の道路からの救済のニアレスポイントは修理地になるため、これを繰り返すと無限ループとなります。一方、1クラブレングスの以内の最も離れた地点にドロップすると道路の右側をニアレスポイントとすることが出来ます。 ドロップの仕方により次の救済エリアが異なるので”どうしても”という規定に外れます。『その都度少しずつ移動していくような状況なら、このような処置は認められない』という12月14日のご回答でしたが『認められている救済方法の範囲内(例えばドロップの場所)においても元の状態(最初の救済エリア)に戻ってしまう場合に、両方の障害がなくなる場所でニアレストポイントを決めて処置することができる(規則の解釈16.1/3参照)と考えるのですが。
nispaさん
ご質問ありがとうございます!
当サイトのサブタイトルどおり、かなりディープな内容になってきましたね、ありがとうございます。
『場所』と『状態』という言葉ですが、nispaさんのおっしゃる通り規則書ではある程度一貫性を持った使い分けはしているかもしれませんが、用語の定義にない限りは一つの日本語であり、全体的な内容からその意味は変わったりもするものと考えていますし、私が使う場合もそのように使っています。そして、14日の回答『どうしても元の場所に戻ってしまう、という状況なら1度に両方の障害を考慮して救済を受けることができる』という表現はピンポイントに感じる表現だと思いますが、一例ですので間違っていないと思います。
それはさておき、今回の規則の解釈16.1/3の末段をもう一度見てみます。

”しかしながら、そうした状況では、プレーヤーが各状態による障害から続けて救済を受けたときに、どうしても救済を受ける前の状態に戻ってしまう状況を除いて、プレーヤーは1回の処置で、両方の状態からの統合した完全な救済のニヤレストポイントによって決められた単独の救済エリアに球をドロップすることで、同時に2つの状態からの救済を受けることはできない。”

”However, in such situations, the player may not, in a single procedure, concurrently take relief from two conditions by dropping a ball in a single relief area determined by a combined nearest point of complete relief from both conditions, except in the situation where the player has successively taken relief for interference from each condition and is essentially back where the player started.”


ついでに同様の内容の旧裁定集の文面も見てみましょう。

”プレーヤーは規則24-2に従って処置した後、もし適用できるようであれば、規則25-1に従って処置することができる。プレーヤーは1回の処置で動かない障害物とカジュアルウオーターの両方から救済を受けることはできない。ただし、これらの規則に基づいて処置した後、プレーヤーが最初の場所にどうしても戻ることになり、そのような1回の処置が両方の状態からの救済を得るために必要であることが明らかな場合を除く。”(旧裁定集1-4/8)

旧裁定集では『場所』となっていますが、私はここでそれは問題ではないと考えています。重要なのは1回の処置で両方の障害を考慮しなければ無限ループ、あるいは無限とは言わずとも何十回も救済を受けるようなことになりかねない、そんな状況を避けるための解釈だと捉えています。旧裁定集にはこの続きがあり、簡潔に書くと
”「Aの障害から救済を受けBの障害のある場所へ行き、Bの障害からの救済を受けAの障害のある場所に戻った。そこでさらにAの障害から救済を受けようとするとまたBの障害がある場所に行くことが分かっている」という状況なら公正の理念に従い、1度に両方の障害を避ける場所に救済を受ける処置をとるべきである”といった内容でした。この例にならえば、AからBに行って、BからAに帰って、さらにまたBに行くことになれば、一度に2つの障害を考慮した救済が認められる、ということになります。現に当サイトでも規則改正前はそのような回答をした記憶があります。しかし、新規則ではこの部分が無くなりました。ですから規則改正の時に、この部分について若干厳しい見解になったのだな、と感じたものです。

では、ここでnispaさんのおっしゃる”状態”という言葉について考えてみたいと思います。16.1/3末段の「~どうしても救済を受ける前の状態に戻ってしまう~」の部分のことかと思いますが、確かに「救済を求めらる状態」「異常なコース状態」と捉えることもできると思いますが、細かいことを言うと、異常なコース状態に戻る、というだけでは言葉的に不十分(この場合は異常なコース状態による障害のある場所に戻る、とすべきです)だと思いますし、救済を求められる状態に戻る、というのも、それは球のライについてなのかスイング区域なのかスタンスだけでも良いのか、と考えると元の障害とは異なる種類の障害も含まれるため幅広い解釈になってしまいます。また救済エリアのことを”状態”と呼ぶことは基本的にはないはずです。それなら救済エリアと書くべきです。私は、旧規則からの流れもあり、「元の場所に似たような場所に戻った」そのような状態(状況)のことを指していると捉えています。これは具体的な元の場所から何cm以内とか、そういう問題ではなく、救済が永遠とループしてしまうようなことを避ける目的での文言と考えるものと思っています。例えば、下のイラストのような場合に、1つずつ救済を受けて元の障害の場所に戻った時に、最初の場所から何メートルか離れた場所に行っても障害の大きさから相対的にみれば元の場所からそう遠くはない場所となるでしょうから、救済を受ける前の状態に戻ってしまう、と捉えることができます。


ちなみに『その都度少しずつ移動していくような状況なら、このような処置は認められない』という先日の私の回答ですが、これは印象的に誤解を招いたかもしれませんが、次のイラストのような状況を意味したものです。最初に障害Aに止まり、障害Aの救済を受けニアレストポイント1からの救済エリアにドロップして止まった場所が1、その場所から障害Bの救済を受けニアレストポイント2からの救済エリアにドロップして止まった場所が2、そこから更に救済を受けようとするとニアレストポイントは3の場所になります。旧裁定集だとこの状況で1度に2つの障害を考慮することができたわけですが、その内容がなくなった現規則では「どうしても救済を受ける前の状態に戻ってしまう状況」に該当するかどうかを重視すべきかと思います。ニアレストポイント3からの救済エリアにドロップすれば、最初の状況とはかなり異なる状況となる可能性が高いので、「どうしても救済を受ける前の状態に戻ってしまう」とは言い難い、と私なら判断します。

以上が私の見解ですが、もし「~どうしても救済を受ける前の状態に戻ってしまう~」の”状態”が最初の異常なコース状態による障害がある状態という広い意味であるのなら、nispaさんのおっしゃるとおり、AからBに行って、BからAに戻れば、それだけでその条件を満たすことになります。言葉の解釈は場合によっては色々な意味に取れる場合もあります。そのような場合に規則として何が正しいかはR&Aの裁定によりますので、機会があれば確認しておきたいと思います。
2021.12.25回答 Mr.golfbaka
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