Q:練習でティーを打ってからドライバーショット 2017.01.06

プレーヤーAはドラバーショットの調子が悪いので、ティーを地面に刺しティーを打つ練習を行った。松ぼっくりを打ってもよい事は知っていたので黙認していたところ、次のホールのティーグランドでティーアップした球の手前にティーを刺し、それを打ってから即ドラバーショットをしたところナイスショットを放った。それ以降のティーショットはそれを繰り返し行い、ドラバーショットの調子は絶好調となった。特にプレーの遅延は認められなかった。これは7-2(ラウンド中の練習)又は14-3(携帯品の異常な使用)の違反になるでしょうか? 又他にこれを罰するルールはありますか?

ゴルフチョフさん

回答
あけましておめでとうございます。新年最初のご質問ありがとうございます。ゴルフチョフさんをはじめ、いつもご質問をくださる皆さま、本サイトをご覧になっている皆さま、いつもありがとうございます。ゴルフシーズンが始まると私も個人的に忙しくなるため、ここ数年はシーズン中にご質問を貯めてしまい返答が1ヵ月以上遅れることも多々ありましたが、今年はそういうことのないよう”速く回答する”ことを大事にしていきたいと思いますので今年も宜しくお願いいたします。

さて、ご質問です。もしご質問の行為が違反となるのなら、その違反はお察しの通り規則14-3の違反となりますが、どうしてそのようになるかを考えていきたいと思います。
まず規則7-2・ラウンド中の練習についてですが、ここで出てくる『練習ストローク』とは球を打つことを意味しています。つまり、松ぼっくり同様、ティーも球ではないのでティーを打っても練習ストロークとはならず、規則7-2の違反とはなりません。次に、規則14-3について。ここでは『人工の機器』『異常な携帯品』『携帯品の異常な使用』について扱っており、それらをラウンド中に以下の目的で使用すると違反となることを定めています。
a.ストロークを行う時やプレーする上でプレーヤーの援助となる可能性のあるもの
b.距離やプレーに影響する可能性のある状況を計測あるいは測定する目的のもの
c.クラブを握る上でプレーヤーの援助となる可能性のあるもの(単純な手袋など認められているものもある)

この規則を考える時は、対象の物が『人工の機器』『異常な携帯品』『携帯品の異常な使用』のいずれにあてはまるか、ということを考慮する必要があり、そのためには裁定集の考え方がある程度備わっていないと難しいところではあります。例えば、素振り用の棒や距離計測器などは『人工の機器』、ホームセンターに売っているような単なるビニールパイプであれば『異常な携帯品』として取り扱われるでしょう。言葉の意味だけですとビニールパイプも『人工の機器』ではありますが、規則14-3で言うところの人工の機器とは上記abcの機能を持つ物が該当すると捉えるべきです。これは裁定集の14-3/3の中で距離計測器を持たない眼鏡と双眼鏡は規則14-3で言うところの人工の機器ではない、と示していることによります。そして『人工の機器』と『異常な携帯品』については、ラウンド中に(ストロークの時とは限らず)上記abcに該当する目的で使用した場合に規則14-3の違反となります。残りの『携帯品の異常な使用』についてですが、これは通常のゴルフのプレーで持ち運ぶあらゆる物が該当し、それらを異常な方法で上記abcに該当する目的で使用した場合に規則14-3の違反となることを示しています。ご質問にある”ティー”は通常の携帯品ですので、通常の使用であれば問題ありませんが異常な方法で使用した場合は違反となる、ということです。
ここでようやく、球を乗せずに練習ストロークの補助のためにティーを使用した場合はどうなるのか? といった本質問の本題を考えることになります。ティーは球を乗せる道具であり、本来それ自体を狙って打つ物ではないので、異常な使用方法とみなして良いかと思います。しかし、裁定集14-3/6.5の中で、携帯品の異常な使用については練習スイングや練習ストロークには適用されないことも明示しており、ご質問のケースも同じように罰はない、と裁定すべきかと思います。ただし、ティーを打つ練習スイングの後、間髪いれずに球を打つストロークを行う方法でプレーしていた、つまり、ストロークの一連の流れの中で使用していたと認められた場合は上記aの違反となってくる可能性もあるかと思います。
他には、ご質問にあるように、その行為のために遅延があるようであれば規則6-7の違反となる可能性もありますが、素振りはほとんどの人がする行為ですし、よほど酷い場合に限るでしょう。また、ティーを差す位置が球のすぐ近くで、それによりプレーの線を示しており、そのままストロークしたのであれば規則8-2aの違反となります。他は特に該当する規則はないかと思います。もし、その行為がエチケット的に深刻な問題があるようであれば、委員会は規則33-7により競技失格とすることもできますが、練習スイングでティーを打ったという理由だけで競技失格にすることは妥当ではないでしょう。

Mr.golfbaka