Q:ドロップした球が動いている間に意図的に止めたり方向を変えた場合 2016.07.06

リプレースできない場合の処置について質問します。動かせない障害物からの救済処置を採って球をドロップしたが、プレーヤーの足に当たったので、再ドロップした。しかし、球は急勾配を転がって遠くへ転がりそうだったので、プレーヤーの許可した同伴競技者が後ろで2クラブレングス転がる前に、拾い上げてしまった。拾い上げた理由は球がニヤレストポイントよりもホールに近づいたからであった。裁定集20-2c/4では、規則1-2の違反として、2罰打となり、球は拾い上げた地点にリプレースすべしと解説しているが、そこはもちろんマークしていないので、リプレースできない。プレースなら理解できるが、元の位置にマークしていないので、リプレースできないのである。球を拾い上げた人は再ドロップした落下地点にすぐプレースしたので、リプレースすべき地点を正確に特定できなくなっているし、また、仮にそのあたりにプレースしても、ニヤレストポイントよりホールに近づいた地点でもある。このような場合、適切な訂正措置というのはどうしたらよいのか、アドバイスをお願いします。

山下敏幸さん

回答
ご質問ありがとうございます!
質問の趣旨とは逸れてしまうかもしれませんが、実際に遭遇しやすいケースですので、まず裁定例20-2c/4について触れたいと思います。この裁定では、ドロップした球が規則20-2cの再ドロップ要件となる場所に転がって行き、そこから戻ってくることが明らかにない場合は球を止めても罰はないが、そうではない場合は球の動きに影響を及ぼしたことについて規則1-2の2打罰を受けることを示しています。これについての例を挙げてみます。

例1
ラテラルウオーターハザードの救済で最後にハザードの限界を横切った場所から2クラブレングス以内にドロップしたが、ドロップ範囲はウオーターハザード内の池に向かって傾斜していて、ドロップした球は池に入ることが間違いないと思える状況であったとします。この状況でドロップした球がそのラテラルウオーターハザードの境界を横切ってラテラルウオーターハザード内に入り、そこからハザードの外に出ることがまずない状況であれば、池に入ってしまう前に止めても罰はない、ということになります。これは規則20-2cの要件の一つである”ハザード内に転がり込んだ場合”に該当した後に拾い上げているからです。

例2
グリーンに向かってきつい下り傾斜が続くホールでカート道からの救済を受けドロップしたところ、2クラブレングス以上前方に転がって行き(またはニアレストポイントよりホールに近づき)、そこから戻ってくることがない場合は2クラブレングスを超えた時点(ニアレストポイントより近づいた時点)で拾い上げることができます。

これらの例では、規則20-2cで定めるところの再ドロップ要件を満たす場所にドロップした球が行って止まることが確定的な場合に、不必要に球を池に入れて紛失したり、遠くまで転がしてしまい拾いに行く手間をかけることのないよう定めたものと捉えることができます。しかし、再ドロップ要件を満たす場所まで転がり出ていない状況で球を拾い上げることは認められません。例えば、例1のような場合で池に入るのがほぼ間違いないからと言って、ハザード内に転がり込んでもいないし2クラブレングス以上転がり出てもいない状況で球を止めてしまうことは認められないことになります。
ご質問のケースはそのような認められていない状況で球を拾い上げたケースというわけですが、この場合、その球を止めた人が2打罰を受けることになります。同伴競技者が勝手に止めたのなら同伴競技者が2打罰となりますが、ご質問のケースではプレーヤーが許可しているのでプレーヤーが2打罰を受けることになります。そして球は止められた場所(あるいは拾い上げられた場所)にリプレースしなければなりません。当然マークはしていないわけですが、リプレースする場所が確定できればそこにリプレース、確定できなければ規則20-3cを適用するので、スルーザグリーンでは推定してドロップすることになります。その場所がニアレストポイントより近い場合、球を止めた目的が上記に示した裁定例20-2c/4のように、再び戻ってくることがないような状況で止めていたのなら罰無しで再ドロップとなるわけですが、そうでなくただ単に止めてしまったのであれば、止めた人が罰を受け、球はあるがままの状態でプレーするべきかと思います。ご質問のケースではプレーヤーが認めた人が止めたのでプレーヤーが罰を受け、そこからそのままプレーすることになります。たとえニアレストポイントより近づいている場所とはいえ、ドロップした球が自然に止まった場所ではないので規則20-2cには該当しません。

Mr.golfbaka