Q:2つの球をプレーする規則について 2016.03.09

R3-3の件ついて。ここの解説にはマーカーか同伴競技者に宣言する必要があると述べられています。しかし16年の規則では告げるべきであると変更になっています。規則書の用語解説でも「〜ねばならない」命令。「〜べきである」勧告と区別してます。16年の裁定集にも黙って第2のボールを先に打つことを容認した解説になっています。確か15年の裁定集には第2のボールを先に打っても黙って行った場合は無効となっていたような解説があったように覚えていたのですが(うろ覚えですが)、原本を持ってないので定かではありません。お手数ですがご意見をお願いします。

琢ちゃんさん

回答
ご質問ありがとうございます!
ストロークプレーでは、処置が分からないような場合に2つの球でプレーすることを認めており、規則3-3でそれを定めています。ご質問頂いた通り、確かに本年の規則書と昨年までのものとでは記述が変わっているのですが、実は規則の内容や裁定の考え方などは全く変わっておりません。その前にご質問内容にもあるのですが「〜べきである」や「〜しなければならない」といった言い回しについて触れておきたいと思います。ゴルフ規則書を目に通す機会が多い方は必ず覚えておいてほしいもので、以下のように区別します。
「〜できる」=プレーヤーが任意にその行動をとることができるし、とらないこともできる
「〜するべきである」=勧告。必ずしもそうしなければならないものではないが、そうするべき性質のもの(基本的に罰はないが場合によっては罰が課せられるケースもあり得る)
「〜しなければならない」=指図・命令。従わなかった場合は罰が課されるのが基本
ここで規則3-3に戻ります。この中で、2つの球をプレーする場合、本年からの規則書では
・事前に『2つの球をプレーすること』を決めなければならず、また『2つの球をプレーすること』と『どちらの球でのスコアをカウントしたいのか』をマーカーか同伴競技者に告げるべきである
といった内容になっています。昨年までの規則では
・事前に『2つの球をプレーすること』と『どちらの球でのスコアをカウントしたいのか』をマーカーか同伴競技者に告げなければならない
となっていました。ここで「〜しなければならない」という言葉の使用を考えると、今年からの規則では「事前に2つの球でプレーすることを決めなかった場合」、昨年までの規則では「マーカーか同伴競技者に伝えなかった場合」には罰が課される、ということになってしまうのですが、実はどちらも罰はありません。
例えば、カート道からの救済が良く分からず、そのままプレーした後に同伴競技者に2つの球に関する規則を教えてもらったプレーヤーが、救済を受けた場合の球を2つ目の球としてプレーしたとします。この場合、『事前に2つの球をプレーすることを決めなければならない』といった内容にも反していることになるのですが、規則3-3の中ではそのように認められない2つ目の球をプレーしたことについて罰はなくスコアカウントを採用する対象にはならない、といったことを示しています。
それでは次にマーカーや同伴競技者に伝えることについて。ちなみに、これについて本サイトでは告げる必要がある、と解説しています。本サイトでは規則書のような言葉の法則性は使用しておらず、実質的にどうなのか? といったことを考えて解説しているため、言葉の解釈についてはある程度広義に捉えて頂ければと思います。さて、事前にマーカーか同伴競技者に『2つの球をプレーすること』と『どちらの球でのスコアをカウントしたいのか』を伝えた場合と伝えなかった場合を比べてみたいと思います。

【2つの球をプレーした場合のスコア採用する球】
<正しく事前にマーカーか同伴競技者に伝えていた場合>
プレーヤーが選択した方が規則違反をしていなければそちらを採用、規則違反をしていればもう片方の球を採用、どちらも重大ではない規則違反をしていれば最初の球(または最初にインプレーにした球)を採用、どちらかが重大でもう片方は重大ではない規則違反をしていた場合は重大ではない規則違反の球を採用、どちらも重大な違反をしていた場合は競技失格

<事前に伝えていなかった場合>
最初の球(または最初にインプレーにした球)が規則に反していなければ最初の球を採用、最初の球が規則に反しており2つ目の球が規則に則っていれば2つ目の球を採用、どちらも重大ではない規則違反をしていれば最初の球(または最初にインプレーにした球)を採用、どちらかが重大でもう片方は重大ではない規則違反をしていた場合は重大ではない規則違反の球を採用、どちらも重大な違反をしていた場合は競技失格

ここでご質問内容に戻りますが、黙ってプレーした場合はどうなるのか? ということです。この場合、プレーヤーが事前に2つめの球をプレーすることを決めていたかどうかが問われることになります。もし最初の球をプレーしたに2つめの球をプレーすることにしてプレーしていた場合、その2つめの球は規則3-3に従ったものではないためスコア採用の対象にはなりませんが、その球をプレーしたことについて罰はありません。最初の球をプレーするに2つの球でプレーすることに決めていた場合、2つの球をプレーしたことについては認められますが、スコア採用の上では上記の<事前に伝えていなかった場合>に従って決める、つまりプレーヤーの意志とは関係なく自動的に決まることになります。

Mr.golfbaka