Q:マッチプレーでプレーヤーが違反をしていたかもしれない場合、それを見ていた競技委員の判断 2016.02.25

昨年のクラブ選手権準々決勝マッチプレイでの事例についてご質問させていただきます。
競技委員として、一般プレーヤーにパスをお願いする等の役割で先導しており、レフリーとしてそのマッチの始めから終わりまでプレーヤーに同行するよう任命されたわけではありませんで、他のマッチにも付いて回りました。プレーヤーAが1ダウンで最終18番ホールにやってきました。ミドルホール、プレーヤーAの第一打はピンまで約150yのカート道路上にあり、二人が打ち終わった後私はグリーン近くまで行き、第二打を待っておりました。プレーヤーBが先に打ち、Aは動かせない障害物からの救済の処置をBに確認しながら行っておりました。その時Aはウッド(ドライバー?)を使ってニアレスポイントを決定し、1クラブレングスもそのウッドで決め、第二打目は自分の飛距離である7か8番アイアンでストロークをし、結果的にこのホールを取りマッチイーブンとなり次のエキストラホールも取りマッチの勝者となりました。
グリーンの近くから見ており、Aが打った後、あれ、まずいなと思い、急いで競技規則、裁定集を確認しました。定義36救済のニアレスポイントの中に、(救済を求めている状態がそこになかったら使っていたはずのクラブを使うべきである)裁定集24-2b/1、24-2b/2によりストロークプレーの場合、誤所からのプレーの罰が課せられる、でよろしいのでしょうか? ただし、今回はマッチプレーであり、プレーヤーBからのクレームもなく、競技委員としてこのマッチに同行するよう任命されてないので、1-3、6-7、33-7に関連する場合でなければマッチに介入する権限を持たないと判断しAの勝利となりましたが、競技委員としての判断は間違ってないでしょうか。
よろしくお願いいたします。

hironomoさん

回答
ご質問ありがとうございます!
結論から申し上げますと、マッチに介入しなかったのは正しい判断でAの勝利で問題ないと思います。ご質問の事象について一つずつ考えてみます。
まず、Aがドライバーを持ってニアレストポイントを決めたことについてですが、それだけではAは誤所にドロップしたとは言えません。規則ではニアレストポイントを決める際に次に使用するクラブを持って決めるべきとしていますが、次に使用するクラブというのはプレーヤーの自由であり、残り100Yからでもフェアウエイからドライバーを使うこともあり得るからです(例えば木の下を通す場合など)。しかし、ご質問のケースではそうではないと思いますので、もしドライバーを使ってニアレストポイントを決めることが明らかに不合理と思えるようなら誤所にドロップする可能性も生じます。しかし、この時、ただ単にドライバーを使用したから誤りとなるわけではなく、ドライバーを使用したことにより、本来使用すべき7または8番アイアンを使って決めるニアレストポイントから1クラブレングス範囲の外にドロップした場合に誤所にドロップした可能性が生じることになります。ですので、ドライバーと7・8番アイアンのクラブの長さの差を考えれば、ドライバーでニアレストポイントを決めて、そこからドロップする場合、ドロップ範囲の真ん中辺りにドロップしていたのなら、方法は良くなくても結果的には正しい場所にドロップしたことになっている可能性も充分にあります。
次に、Aの処置についてBが確認していたわけですので、結果はそのままでなければならない、ということが言えます。もしBの見ていない場所でAが誤所からプレーし、そのことをAがBに報告せずにプレーを進めた場合は、AはBに誤報を与えたことになるので、規則2-5によりBは競技終了前であればクレームを出すことができたわけですが、ご質問のケースでは、BはAの処置を見ているので、AがBに誤報を与えていることにはならず、従ってBは次のホールのプレーに入る前にクレームを出さなければ結果はそのままとしなければなりません。
マッチプレーは、規則違反を見逃す、あるいは規則違反をするのを黙って見ていてホールの勝ちを得る、といったことができる性質を持っており、場合によっては規則への精通度が勝敗を左右することもあり得ます。ご質問内容にもありますが、レフリーの定義の中にある「1-3、6-7、33-7に関連する場合でなければマッチに介入する権限を持たない」という一文は、レフリーが自発的に規則的なアドバイスをすることでマッチのそのような性質に支障をきたすことのないように定めているものと思います。もちろんプレーヤーに裁定を求められた場合には出て行って良いわけですが、それ以外では二人の勝負に介入してはいけない、ということになります。

Mr.golfbaka